イカ漁師をとりまく環境は良さを伝えることで変わるはず。

イカ漁師をとりまく環境は良さを伝えることで変わるはず。

萩美人漬けはどのような背景
から誕生したのでしょうか?

福島氏:商品開発の根底には「須佐のイカの価値をもっと多くの人に伝えたい」という、私と梅乃葉を育ててくれた当時のイカ釣り船団長の想いを実現することです。
萩市須佐にはケンサキイカの一本釣り船団がいまして、そこで水揚げされた活ケンサキイカを「須佐男命(すさみこと)いか」というブランドで盛り上げていこうとしています。ですがケンサキイカはデリケートで、水揚げすると数日程度で死んでしまいます。

死んでしまうとその市場価値は1/3まで下がってしまいますが、活きたまま取引するのは非常に難しいですし、手間もコストもかかってしまいます。ですので、活イカだけに頼っていてはいつまで経っても須佐の漁師を取り巻く環境はよくなりません。 また、イカは同じ種類でも地域によって呼び名が異なることもあり、消費者にはその違いがわかりづらく、その上名前も知らないような外国産のイカが原料となった加工品があふれていることから、『イカの加工品は安い』というマイナスのイメージが付きやすいのが現状です。
ですが、活きたケンサキイカの素晴らしさは、かの美食家・北王子魯山人も認めたほど。
「だったら、活イカと同様に取り扱われるイカの加工品を作ろう」と、動き出した商品の1つが、この萩美人漬けなのです。

福島さんは本当に研究熱心。だから安心して糀や酒粕を提供できました。

福島さんは本当に研究熱心。だから安心して糀や酒粕を提供できました。

今回の萩美人漬けはどのような経緯から澄川酒造さんとのコラボになったのでしょう?

福島氏:今回の萩美人漬けを作るうえでの前提は、ケンサキイカの味の良さを出来る限りそのまま生活者に届けることです。ほかの味でイカ自体の良さを損なったり、化学的で刺激的な味を添加することも避けたかった。さまざま研究する中で、酒造りで使われる糀が、イカのたんぱく質に変化をほとんど与えることなく、削りとった酒米のでんぷん質を糖化して作った雑味のない優しい糀の甘さと風味が、イカと相性が良いことがわかりました。須佐のイカのおいしさを、その質を変えることなく生活者に提供できる可能性が、日本酒の糀にあったのです。
澄川さんは、日本を代表する酒蔵の1つですし、同じこの萩市に根付く会社です。そして平成25年の豪雨災害では互いに被災し、ともに復興を期する同志です。澄川社長に私が目指す須佐の町おこしの話を説明させていただきました。すると、澄川酒造さんを代表する銘酒『東洋美人』の純米大吟醸の、極限まで雑味を削って作られた糀と酒粕を使わせていただけることになったのです。本当に澄川さんには感謝しています。

澄川さんはなぜ福島さんに協力
しようと思ったのでしょうか?

福島さんは本当に研究熱心なんですよね。それが一番です。私たちは東洋美人の糀や酒粕を他の会社に提供したりすることはしていません。それは、自分たちの手から離れ、他の会社がそれを使って何か商品を作ったとしても、私たち澄川酒造と『東洋美人』という名前がその商品の品質にも関わっているように消費者は受け止めるでしょう。やはりそれは私たちにとって不本意な結果になることもあります。
だからこそ「この人なら信用できる」と思える場合は私たちも全力で応援したい。福島さんは糀や酒粕を使って調理をするのではなく、糀や酒粕の良さもしっかり生かしながら、イカのおいしさも引き立てることに、本当に一生懸命に研究をされている。その姿に私たちも惜しみなく、糀も酒粕も福島さんにはお渡しできるのです。だからいい商品を作ってほしい、そう思っています。

実際に萩美人漬けは試食されました?

いただきました。本当に美味しいと私も思っています。私は、福島さんは日本一イカを美味しく調理できる人だなって思っています。
それだけイカのことを熱心に勉強されて、美味しいものを作ろうと努力される。だからこの萩美人漬けも絶妙な塩梅で調味されていて、良い商品だなと思います。

企業紹介

  • 口福の馳走屋 梅乃葉
  • 08387-6-2354
  • 〒759-3411 山口県萩市須佐5010-1
  • 株式会社澄川酒造場
  • 0838-74-0001
  • 〒759-3203 山口県萩市大字中小川611番地
SP版はこちら